裏切りのエア抽選器

フリートーク　　　開発者楠野

 

アミューズメント業界に長く身を置きながらも、何となくイベント業界の

動向にも関心を持っていました。その理由としては、アミューズメント業を

営みながらも、プライズゲームとはタイプが違うエア抽選器を、

商品のラインナップの中に持っていたからです。その上周囲を見渡しても、

性能面で楠野製の抽選器が劣っているとは思えず、あわよくば、

あと２．３機種イベント機を開発して、その中で、エア抽選器を柱に据えて、

イベント業界でも頑張っていけたら・・・・という思いもありました。

 

大それたことを考えていたかもしれませんが、イベント機は

アミューズメント機に見られる「全自動」でなければならないという

ワクから外れているので、機械を作る者にとっては

とても楽なのです。ギミックの操作の仕方さえ考えておいたら、

後は現場のスタッフさんがうまく運営してくれるので

製作がとても捗ります。

その上

①構成パーツの点数が極端に少ない

②組み立てがラクチン

③配線作業がイージー

④人為的なミスや炎天下での使用をしない限り「壊れようがないという安定感」

⑤資材費が節約できる

⑥前金取引も日常でリスクがない

等々、これら幾つかの安心の要素が私の背中を「トン！」と押してくれた訳です。

 

 

 

「イベント業界でやるからには、何と言っても軸足となるエア抽選器だけは、

スペラせるわけにはいかない。業界での過去の高評化を維持し続けなければ。」

との決意で気込んだのですが・・・・

 

ところが

抽選器を製品として完成させて、実際に現場に出して稼働させてみると、

「これは・・・裏切られた～。」という思いで目をパチクリさせました。

その原因は、 設置されているイベント会場で子供達が目ざとく

エア抽選器「水族館くじ」を見つけて、吸い付けられるように

集まってきてくれる様子にありました。

幼子に手を引かれると、 必ず親御さんも一緒に付いてきます。

たちまちにして機械の周りには人垣ができて、ワイワイ、ガヤガヤと

賑わうのです。

 

恥ずかしいことですが、こんな光景を見るまでは気づかなかったのです。

自社事情にとって都合のいい「手間要らずの器械」としか考えていなかった

抽選器が、 実はこんなにレベルの高い「人寄せ能力」を秘めていたとは・・・、

それがさきの「裏切られた～」という言葉になってしまったのです。

良い意味での「裏切り」だったのです。 これについてはイベント業者さんも、

「人集めのためのアナウンスを、現場のスタッフが大汗掻いて行う

必要も無くなるね。」と、とても上機嫌でした。

 

「こんな気分の良い裏切り行為ならいつでも大歓迎!です。」

 

※夜に威力を発揮する電飾仕様のエア抽選器「夜光虫」です。