挫折が導いたクレーンゲーム製作

有限会社楠野製作所

挫折が導いたクレーンゲーム製作

スタッフブログ

2019/03/08 挫折が導いたクレーンゲーム製作

開発担当 楠野博美

三重県松阪市に住んでいた小学生の頃、子供たちが楽しみにしている

街の行事に初午(はつうま)祭があり、毎年3月の初めの午の日に三日間

開催されました。

 

華やかな彩りで小さな町のメインストリートがライトアップされ、

駅前通りは巨大屋台村となって、集まってきた大勢の人たちでごった返すのでした。

テントの中に設置された屋台には結構インチキな品物を売る店もあれば、

串カツやタコ焼きなどを販売する店もずらり並んでいました。

もちろんスマートボール、パチンコ、輪投げなどのゲームを提供している店も

ありました。

 

その中で私が一番ワクワクしたものは・・・・・
もちろん現在のようにクレーンゲームが存在していいなかったのですが、

景品獲得ゲームは存在していたのです。

それがお金を持った大人にしかできない「千本釣り」だったのです。

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【昔とはちょっと違うが現在の千本釣り】

 

「千本釣り」の醍醐味は、畳2枚分くらいの面積を囲んだ空間の中ごろに、

たくさんの景品を、紐を付けたままで、山盛り状態にして床に積み上げ、
それから、景品に繫がった紐の他方の一端をとりあえずまとめて天井に上げてしまい、
そこからお客さんが立っているカウンターのところまで伸ばしてきて、
お客さんが引っ張りやすいようにバラけさせて、垂らしてあるのです。
お客さんは好きな景品を狙って、「これっ!」と直感した紐を引くのです。

 

当時、なかなか大物の景品を釣り上げるお客さんはいませんでした。

せめて小さいものでも頻繁に釣れれば気持ちは満たされるのですが、

引いた紐の先には何も付いていないスカ状態も結構多かったのです。

そんな多少胡散臭い部分もあるものの、それでも私は「千本釣り」のワクワク感が

好きでした。他人がやっているのを見ているだけでも面白かったのです。
実は子供の頃のこの感動体験が、後に大人になって、そしてゲーム機が

作れるようになって、「あの懐かしい思い出の、千本釣りを自動化したゲーム機を
何とか作ってみよう。」という気持ちへと私を駆り立てたのです。

 

長い時間を掛けて、「千本釣りをクレーンゲームで表現する」

夢の創作活動を繰り返しました。しかし、大体のイメージまでには

近づけるのですが、どうしてもお客さんがヒモを手にして引っ張る一番の見せ所を、

どんな仕掛けで表現するのかの課題が解決しないままとなり、何度も何度も

同じテーマと向き合って、それでも越えられない挫折感を味わっているうちに、

終いには「やっぱり無理か。」と、道半ばながら、諦める決断をすることになりました。

「いっそこれが紐引きゲームではなく、単なる紐切りゲームだったら、

これほど悩むことはなかったのに。」と恨み節がため息と共に出てきました。

ところが正にその瞬間でした。脳に閃いたのです。

「何も『紐を引く』動作に執着しなくてもいいのではないか。」
「いっそ『紐を切るゲーム』にしてしまったら、もっと簡単に作れる!!
発想の転換が始まったのです。

千本釣りゲームの製作が、紐切クレーンゲーム「バーバーカット」の製作に、
一瞬にして化けた瞬間でした。

【初代のバーバーカット】

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