高速型プライズゲーム

開発担当　楠野博美

クレーン系プライズゲームの動きは、基本的にX移動(左右方向)、

Y移動(前後方向)、Z移動(上下方向)の3種類があります。
そんな中で、短時間にたくさん稼ぐことを目的として、

「テンポがよくて速くて楽しく終わる」ゲームに取り組んだ
ことがありました。

その特徴的なゲーム機は
もうX移動だけですぐ決着がついて、かつY軸もZ軸操作も不要の
ロープコンタクトゲームでした。
「ロープコンタクト?」何のことはない、ただの「紐押し」ゲームです。
機種名は「BBQタイム」でした。
ゲームを開始して1秒から5秒の間に勝負の行方が見えてしまう
高速型のゲームでした。

お客さんはゲームを味わうよりは、景品がひたすら欲しいだけ。だから

ゲームに負けたら、ギミックを早く原点復帰させて、また繰り返し、

景品にアタックしようの気持ちが強い。そんな状況でわざわざ

Y軸移動の第2ステップを設けなくてもいいだろう。

いきなりこの確信で製作を進めました。

BBQタイムの遊び方操作は、
(1)押しボタンを押して、ギミックを右にスタート(スキル不要)

(2)押しボタンを離して、ギミックを停止(要スキル)
(3)押しボタンを押して、ギミックを前進(スキル不要)

この3つの操作でプレイヤーの仕事は終了していますが、

最初のボタン押しは、ゲームをスタートさせる役目なので、

操作していることにはならず、また同様にギミックを手前に
進めるときのボタン押しも、スキルを必要としない操作なので、

実際にプレイヤーが、景品をゲットするために必要な操作は、
X軸上を移動しているギミックを止める行為1点のみに限定されます。
実にシンプルです。

BBQタイムのギミックにはLEDを仕込んだ棒状の樹脂が付いています。
その樹脂の部分で、景品を吊るしたロープをカット?・・するのではなく、
ロープをプッシュするのです。そしてフックに下げられているプライズを

ゲットするのです。

ギミックを送り出すときのボタン操作も、単なるセレモニーであって、

何の技量も必要としません。

高速タイプの一発勝負機「BBQタイム」
開発者は実にシンプルで潔いプライズゲームと意気込んでいたのに、

業界関係者には「愛想がない!」と、今一つの反応に思えました。

しかし数年経った今、
「あんなゲーム機を作りたい!」の思いがまた頭をもたげてきました。