新開発機に大きな壁‼「ペーパーカットD」

有限会社楠野製作所

新開発機に大きな壁‼「ペーパーカットD」

スタッフブログ

2020/05/19 新開発機に大きな壁‼「ペーパーカットD」

開発者 フリートーク 楠野博美

 

「また、現場のスタッフを泣かせるゲーム機を作って

しまったのか?
ストップウオッチを確認して思わず呟いてしまった。

 

試作機をほぼ完成させた時点で、景品補充に要する時間を

計ってみたところ、一個当たりの景品補充に40秒を費やして

いることが分かった。

 

img_0372

 

想像よりも悪いタイムが出て深刻になってしまった。

前もってこうなることはある程度分っていたのに、

試作を途中で止めることができなかった。

結局行くところまで行ってから対応するシナリオで覚悟は

できていたものの、いざとなった時には「さあ、どうしよう」と

思わず深刻な腕組みをしてしまいました。

 

以前に風船割りゲーム「バルーンホッピング」を開発した時に

購入して頂いたお店のスタッフに、「風船を準備する手間が

煩わしい。忙しい時間帯には構っていられない。」と、

ぼやかれた時のことを思い出しました。

 

確かにあのプライズゲームも景品補充に、

随分時間を要した気がします。

せっかく売上が上がる機械だったのに、
現場のスタッフに嫌われては話になりません。

 

大小の機種を併せて40台程生産した時点で、

風船を準備する手間がこれからも嫌われる原因に成りかねないと案じ、

以後の製作を諦めました。とても残念でした。

 

cate_barun_on

【バルーンホッピング】

 

今回の紙切りゲーム「ペーパーカットD」のプロトタイプを

作ろうと思った時も、「景品を補充する時に同時に行う紙の

交換作業は手強そうだ」と、不安がありました。

 

この手の紙切りゲームが巷に出現してから随分久しいけど、

野暮ったい見栄えはそのまま残した?ままで、

昔の縁日の雰囲気みたいなものを醸し出している姿には、

ふとノスタルジーを感じたりしました。

 

だからこそ今また、

紙を突いて切り落とすゲームに挑むのなら、

初期段階の試作機が景品を補充するのに40秒も掛ったことは、

「改善の要あり」の姿勢で臨まなければならない。

 

開発者にとっての継続的な改善は重要テーマと

捉えているし、風船割ゲームの嫌な失敗談を

また繰り返さないという思いもあり、景品補充の手間を

スッキリ簡略化して、「今度こそは景品交換時間の短縮を

達成するぞ!」の決意で取り組みました。

 

 

img_0374

 

何か店員さんの手間を煩わせる要因になっているか、

いろいろと検証を重ねていくと、幾つかの課題がポロポロと

出てきました。

 

中でも次の課題は大きなものとなりました。

 

今回製作した紙切りゲームは「ペーパーカットD」と

名付けました。

壁のように眼前に立ちはだかる紙に対して、突き出した

2本の巨大針を突進させて、無数の穴を開けていき、

最後には紙を切り落として景品をゲットするゲームです。

 

このゲームの製作過程に存在する幾つかの問題の中でも、

厄介なものは景品の払い出し方法でした。

 

キャビネットの後列に横並びしているぬいぐるみ景品は、

アクリル製の棚の上に乗っかっているだけなので、

景品を払い出す時は角度を付けて、そのまま

滑り落とせばいいのですが、

前列に横並びしている景品は棚には置かれず、

クリップに直に紐吊りされているので、

ゲーマーが紙をズタズタに突いて、切断に成功した時には、

景品に引っ張られるように、クリップも

共に落下して、プレイヤーの足元に転がることになります。

 

そうなると、お客さんは景品にくっついていたクリップまで、

持ち帰ろうとする状況も考えられるので、それに対する

何らかの対策を講じたりしました。

 

 

クリップの価格は

20数円ほどなのですが、

ゲームセンターでは、100円硬貨以外50円も10円硬貨も

使えないので、「消費税が上がるたびに儲けが薄くなる」という

割に合わない現象については、お店の泣きが入ります。

 

だから、たかが20円と雖もカンタンに景品と一緒に

クリップを持っていかれては、お店側は困るのです。

 

開発者としては、

どうやってクリップがお客さんの手に渡らないように、

回収したらいいのか、散々知恵を絞り切った挙句に

解決策を考え付きました。

 

 img_0340

 

 

何のことはない。後列に設置している棚と同様に、

前列に吊っている景品も、両方とも棚の上に載せる方式にしてしまえば、

費用はそれなりに高くつくけれど、

使い勝手が格段に向上することが見込まれるので、

これは実行するべき改善と判断しました。

 

その結果、目障りな紐をプレイフィールドから消すことができたし、

その上景品補充時間まで短縮でき、重要テーマを二つ同時に

解決できたというのは、儲けモノでした。

 

折しも会社はコストダウンに取り組んでいる真っ最中でもあって、

若干費用高になることに心を残しながらも、今回ばかりは

安全生産に徹する選択肢を採ることとなりました。

 

【ペーパーカットD】

img_0373 

【吊り紐から解放され棚の上でくつろぐ子猫たち】

 

 

尚、気になる景品補充時間はグッと短縮して、15秒で

完了できるようになりました。めでたし!めでたし‼

 

 

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